ペルーは伝統的に「ソル」単位の通貨を発行してきましたが、チリとの戦争中(太平洋戦争)にはスペインと同じ「ペセタ」を単位としたコインが発行されました。その規格もスペインのペセタ銀貨と同じように造られています。

　わずか一年しか導入されなかったペルーのペセタ通貨ですが、従来のソル銀貨にはない独特のデザインが採用されています。表面に表現された豊穣の女神セレスは、ギリシャ神話の女神でありながらラテン・アメリカの先住民風に表現されています。豊かな農作物の冠を戴いたセレス女神は、大きな耳輪を下げています。周囲部にはスペイン語による標語『PROSPERIDAD Y PODER POR LA JUSTICA (繁栄と正義のための力)』が刻まれています。

　この5ペセタ銀貨はそれまで発行されていた1ソル銀貨と等価とされましたが、このコインが発行された1880年にも貿易銀として1ソル銀貨も製造が継続されていました。