• アレキサンダー(ヘラクレス)/ゼウス神
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 紀元前2世紀初頭、小アジアのリュキア地方で発行されたテトラドラクマ銀貨。表面には獅子の毛皮を被り、ヘラクレスに扮したアレキサンダー大王、裏面にはゼウス神の坐像と「ΑΛΕΞΑΝΔΡΟΥ(アレクサンドロス)」の名銘が刻まれています。

 アレキサンダー大王は銀貨の発行において、当時アテネで採用されていた「アッティカ基準」の重量を採用し、征服地を含めた帝国の各都市で同一基準のテトラドラクマ銀貨を造らせました。その際、両面のデザインも統一したことで、広域な貨幣経済圏を築き上げようと試みました。

 アンフィポリスからアレクサンドリア、バビロンなど31都市で発行されたテトラドラクマ(4ドラクマ)銀貨は膨大な量に及び、アレキサンダー大王が築いた大帝国を支えました。帝国が崩壊した以降もこのコインは各地で造られ続け、ギリシャ語銘やギリシャ神話に基づくデザインとともに継承されていきました。ギリシャ文化を伝播させる役割も担ったこのコインは、古代地中海世界の国際通貨になり、大王の死後200年以上にわたって発行されたのです。このコインの基準は長く守られ、ヘレニズム・オリエント世界の模倣すべき基準とされました。


 

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