商品説明
セステルティウス貨は当時のローマ市民が日常的に使用していたコインであり、発行数も多かったと考えられていますが、銀貨や金貨と比較して良好な状態で残されているものは稀少です。
大型のコインであるセステルティウスは、当時のローマ市民にとって身近なコインの一つでした。日常の買物や各種支払いに用いられ、様々な物品の値段を記した古文書にも会計単位として登場します。1世紀~2世紀頃のセステルティウスは、おおよそワイン1リットルの価格に相当し、ローマ人の生活に欠かせないコインでした。1/4デナリウス、アス銅貨では4枚の価値に相当したセステルティウス貨は「アウリカルクム(※古代ギリシャの文献に登場する幻の金属 オリハルコンに由来)」と呼ばれる真鍮(黄銅)によって造られており、製造時は鈍い金色をしていました。
しかし軍事支出が増加した3世紀以降、セステルティウス貨の品質も徐々に低下し、必要な重量も満たされないようになります。ゴルディアヌス3世の時代になるとセステルティウス貨の材質は真鍮から銅に変わり、重量にもバラつきが目立つようになります。このコインの重さも23g以下であり、当時のローマ経済で進行していたインフレーションを明確に物語っています。