☆カルタゴの名将 ハンニバルを表現していると云われるコイン☆日本の高校世界史資料集などにも、「ハンニバルのコイン」として紹介される有名な一枚☆古代カルタゴ史を代表する、ポエニ戦争の時期に造られたコインです 紀元前3世紀後半、古代カルタゴの名将ハンニバルが発行したとされる1/2シェケル銀貨。
ハンニバル・バルカ(BC247年~BC182年)は、ローマとカルタゴが戦った第二次ポエニ戦争において活躍した、傑出した将軍として知られています。
ハンニバル・バルカ (BC247年~BC182年)
アフリカ大陸から連れてきた象の軍団をアルプス越えさせ、背後から敵の本拠地ローマを包囲するという、類稀な行動力と戦法でローマ軍を圧倒し、ローマを滅亡させる一歩手前まで追い詰めた将軍として有名です。
ハンニバルが用いた優れた戦法はその後、敵のローマによっても検証され、今も尚、世界各国の士官学校などで研究されています。 この1/2シェケル銀貨は、ハンニバルの父が開拓したヒスパニアの植民都市カルタゴ・ノヴァ(「新カルタゴ」の意。現在のスペイン、カルタヘナ市にあたる。)で造られました。
フェニキア人が築いた海洋国家カルタゴは、現在のチュニジアにあたる北アフリカに都が建設されましたが、その後交易による経済力と軍事力によって地中海各地に勢力を広げ、シチリア島やイベリア半島にも進出していました。
ハンニバルの父親はイベリア半島(ヒスパニア)での入植で活躍し、ハンニバル一族もヒスパニアを拠点にしました。
このコインは、ちょうどハンニバルが10代前半の頃~軍人として活躍した第二次ポエニ戦争までの時期に発行されたとみられることから、表面の人物像はハンニバル・バルカその人ではないかと云われています。その顔は頬髯が無く、若い青年として表現されています。しかし聡明さや逞しさが表現され、若くして頭角を表した軍人としての面影を表しています。
裏面に表現された馬はカルタゴの象徴であり、ハンニバルが重視した騎馬兵力を表していると考えられています。
ザマの戦いでローマ軍の将軍スキピオに敗れたハンニバルは、その後カルタゴを離れて東方の小アジアへ逃れ、当地で自決したと伝えられます。敗軍の将であるにも関わらず、ローマでは史上最大の好敵手として人気を集め、古代カルタゴを代表する大英雄として語られていきました。地中海世界を征服したローマを、滅亡寸前の危機にまで追いやった名将軍として、現在でもカルタゴのあったチュニジアでは歴史上の英傑に数えられています。
現在のチュニジアで使用されている5ディナール紙幣。古代カルタゴの港風景とハンニバルが表現されている。