商品説明
紀元前1世紀半ばの古代ローマで造られたデナリウス銀貨。このコインは紀元前44年4月、カエサルが暗殺された直後に発行されたものです。
紀元前44年3月15日、元老院議場でブルートゥスら共和主義者によって暗殺されたカエサルは、その死後市民達によって盛大に弔われました。生前、絶大な影響力を有していたカエサルは市民の救済者、改革者、大英雄として人気を博し、暗殺間もないうちから後継者たちによって神格化が進められたとされています。このコインも神格化されたカエサルの姿を、視覚的に広く知らしめる宣伝媒体の一つでした。
この後、ブルートゥス、マルクス・アントニウス、オクタヴィアヌス、クレオパトラといった有力者たちによるドラマティックな権力闘争が始まることを考えると、人類の歴史上、非常に重要な時期に作り出されたコインの一つといえます。
表面にはヴェールを被ったユリウス・カエサルの肖像が打ち出されています。この装束と左右に刻まれた神器(杓と杖)から、最高神祇官としてのカエサルを表現したものとみられます。周囲部には「CAESAR PARENS PATRIAE (カエサル 国父)」の銘が刻まれています。