- ローマ教皇領 1852 5バイオッチ銅貨 ピウス9世教皇紋章
商品説明
19世紀半ばのローマ教皇領で発行された5バイオッチ貨は、直径40mm、重量42gの重厚感溢れる堂々たる大型銅貨です。当時の5バイオッチは1グロッソに等しく、100バイオッチで1スクドに等しいとされていました。
表面には、当時のローマ教皇ピウス9世(在位:1846年~1878年)の紋章が表現されています。ピウス9世は事実上ローマ教皇庁が領土を保有し、「国家」として機能していた時代の最後の教皇であり、1871年に統一イタリア王国によって併合されると自らを「ヴァチカンの囚人」と称して和解を拒み続けました。
紋章の周囲部には「PIVS・IX・PON・MAX・ANNO・VI・(ピウス9世教皇 治世6年目)」銘が刻まれています。
裏面には額面表記と発行年銘、月桂樹のリースが表現されており、発行都市ボローニャを示す「B」銘も刻まれています。当時のボローニャはローマを首都とする教皇庁の領土に組み込まれ、大学や修道院、造幣局を備えた文化都市として機能しました。しかしローマ教皇庁の方針と対立することもあり、治安を維持するために派遣されていたオーストリア軍を度々追放することもありました。1859年、イタリア統一運動が本格化すると、ボローニャはローマ教皇庁の支配から早々と離脱し、統一運動を主導していたサルデーニャ王国に併合されました。
8世紀半ばに成立したローマ教皇領は、19世紀半ばまでカトリックの最高権威であるローマ教皇庁が政府として機能し、ローマ教皇が国家元首として継続しました。その後幾度の変遷を遂げながらも、ローマとその周辺地域を領土とした独立国家として1100年以上も存続しました。中世~ルネッサンス期には権勢を誇ったローマ教皇領でしたが、ナポレオンによる占領以降、ヨーロッパの旧体制と保守主義の象徴と見做されました。このコインが造られた19世紀半ばには、イタリア半島の中でも特に旧態依然とした遅れた国家とされていました。
その後、イタリア半島の統一によって消滅したローマ教皇庁が国家として復活するのは、1929年のヴァチカン市国成立まで待たなければなりませんでした。