ファルーク1世(在位:1936年～1952年)は大食漢で派手好きな浪費家として知られ、その治世はスキャンダルに満ちたものでした。当時、彼はアンティークカーや美術・骨董の世界的収集家としても知られ、コイン収集も趣味の一つでした。発行直後にその多くが溶解され、ほとんど現存しないとされたアメリカの1933年銘20ドル金貨も、彼が所有したコレクションに含まれます。
　1952年、青年将校達によるクーデターが勃発し、ファルーク1世は退位、亡命します。彼の膨大なコレクションは世界各地に散らばり、1933年銘20ドル金貨もアメリカへと帰国しました。ファルーク1世が所有した幻の20ドル金貨は、2002年に開かれたオークションで759万ドルの高値をつけて落札されました。