• ヤヌス神/クァドリガのジュピター神
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☆紀元前3世紀の古代ローマで造られたディドラクマ銀貨

☆ローマコインの歴史の中では、初期に造られた有名な一枚です

☆双顔の神ヤヌスの若々しい肖像と、裏面の秀逸なデザイン、現在でも読み取れる「ROMA」の大きな銘など、特徴的で人気のある古代コインです。

 紀元前3世紀に造られたディドラクマ銀貨は、「2ドラクマ」に相当することを示しています。当時、イタリア半島南部にはギリシャ人植民都市が数多くあり、ギリシャ本土に倣ったドラクマ幣制を採用していました。既にこれらの植民都市はローマの支配下にありましたが、ローマはギリシャ系都市に準じたドラクマのコインを自国でも造ったのです。特に当時はハンニバル率いるカルタゴ軍との戦い(第二次ポエニ戦争)が迫っていた時代でもあったことから、戦時下でギリシャ系都市との連携を深める意図もあったと思われます。

 その後、第二次ポエニ戦争中の紀元前211年にデナリウス銀貨の発行が開始されたことで、ローマのデナリウス幣制が確立されてゆくのです。このコインは、古代ローマの貨幣制度の過渡期にあたる時代に発行された、歴史的に貴重な一枚なのです。

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 コインの表面には双顔の神ヤヌスの若々しい肖像が打ち出されています。古代ローマではヤヌス神を「出入口」を守護する神として、家や公共施設などの建物の門の上にレリーフを飾ったとされます。また転じて「始まりから終わりまでを司る神」として祀り、年末年始には供え物を行ったとされています。王政時代、一年の最初の月を「ヤヌスの月」と定めたことにより、暦上「ヤヌス月」=「January(一月)」が定着し、現代までその名が引き継がれています。
 ローマでは市内にヤヌス神を祀る「ヤヌス神殿」を建立し、ローマが戦時体制にあるときは開いておいたとされています。逆に、ヤヌス神殿の扉が閉じられている時は、ローマに平穏が訪れていることを表しました。


 裏面にはクァドリガ(四頭立て馬戦車)に乗る大神ジュピター(ユーピテル)が表現されています。ジュピター神は左手で王笏を支え、右手で雷霆(ケラウノス)を振りかざしています。その傍らには、クァドリガの手綱を握る勝利の女神ヴィクトリーが控えています。
 構図の下部には、発行都市ローマを示す銘「ROMA」が陰刻で表現されています。2200年以上経った現在でも容易に読み取れるこの文字は、古代ローマが世界に遺した影響力の強さを物語っています。


 

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