1830年7月の革命によって発足した「七月王政」初期の20フラン金貨。表面にはブルボン朝に代わってフランスの王家となったオルレアン朝の国王
ルイ・フィリップ1世(在位:1830年~1848年)の横顔肖像が打ち出されています。
ルイ・フィリップは1830年7月に勃発した市民革命、通称「七月革命」によって王位に就き、資本家や自由主義者をはじめとする市民の支持を基盤にしていました。コインにもそれまで使用されていた「
ROI DE FRANCE (フランスの王)」ではなく、市民を代表する意味を込めて「
ROI DES FRANCAIS (フランス人の王)」の称号が刻まれています。
『民衆を導く自由の女神』 このドラクロワの代表作は七月革命を描いたものであり、この金貨が発行された1831年に公開されました。同年中に政府によって3000フランで買い上げられましたが、翌1832年にパリで勃発した六月暴動を契機に公開は中止されました。ヴィクトル・ユゴーの小説『レ・ミゼラブル』でも七月革命による混乱や六月暴動の様子が描かれています。
当初は「市民の王」として期待されたルイ・フィリップは、資本家や銀行家などのブルジョワジーを優遇する姿勢から次第に労働者の支持が離れ、「株屋の王」「洋梨(頭部の形から)」などと皮肉られるようになりました。即位から18年後の1848年2月には再び市民が蜂起し、今度は自らが革命によって退位、亡命することとなりました。