古代ローマ帝国で使用されていたコインをペンダントに加工しました。周囲のシルバー枠には細かい大胆な切り込みが施されており、コイン縁部分の感触を楽しめるようC型枠で囲っています。バチカンのデザインは麦穂です。
アントニニアヌス銀貨はカラカラ帝による通貨改革によって初めて発行され、名目上はデナリウス銀貨2枚分の価値があるとされていました。「アントニニアヌス」とは後世の貨幣学上の通称であり、カラカラ帝の本名「アントニヌス」から名付けられました。そのため、この当時何と呼ばれていたかは分かっていません。
デナリウス銀貨より重く、直径が明らかに大きくなっている点、また皇帝肖像が月桂冠ではなく、太陽を表現した「光の冠」と呼ばれる独特な冠を戴いている点が特徴です。一方で、このオタキラ・セウェラ妃の胸像では両肩の部分に「三日月」が配されています。古代ローマでは皇帝を太陽に見立てた場合、皇妃を月に対比して表現していました。
当時のローマの慣習が、コインのデザインにもそのまま反映されています。
アントニニアヌスをはじめローマ時代の銀貨は壺などに入れられ、まとまって出土するケースが多くあります。当時の人々が蓄財用に埋蔵していたものとみられ、その後回収することができなかったものが後世に発見されます。出土したコインは泥土に汚れ酸化も激しいため、特殊な洗浄薬液に浸けて意匠を明らかにし、上のイメージ写真のように乾かして判別します。
フィリップス1世(在位:AD244-AD249)はアラビア出身のローマ皇帝とされ、「フィリップス・アラブス」の異名でも知られました。また彼の治世は、伝説上の建国者ロムルスがローマを建国してから1000年の節目に当たり、国家的大行事として『ローマ建国千年祭』が盛大に催されました。
裏面には公正・公平を司る女神アエキタスの立像が表現されています。