軍人皇帝時代のローマ帝国で造られたセステルティウス貨を用いた、本格的古代コインペンダント。周囲枠には細い切込みがデザインされ、バチカン部分には矢羽をあしらいました。使われているコインはセステルティウスと呼ばれる大型の青銅貨です。当時、セステルティウス貨はローマ市民にとっては日常で使う身近なコインでした。そのため大量に発行されましたが、鑑賞に堪えられるほど美しい状態で残っているものは稀であり、貴重な品となります。
通常、古代のコインは壺などに入った状態でまとまって出土します。その多くは当時の人々が貯蔵していたものですが、一般的には価値の高い金貨や銀貨が蓄財されていました。一般的に広く流通していたセステルティウスは日常生活で使用されるため、あまり蓄財されず、また材質の問題から美しい状態で出土することは稀です。
ゴルディアヌス3世はわずか13歳で混乱する軍人皇帝時代のローマ皇帝に即位しました。祖父はアフリカ属州総督(現在のチュニジア)であったゴルディアヌス1世であり、アフリカ属州において皇帝即位を宣言しましたが、わずか36日で政敵に殺害されました。
短命に終わった祖父の治世とは異なり、ゴルディアヌス3世は6年にわたって帝位に就いていました。その間、祖父が着工したアフリカ属州 エル・ジェムの闘技場建設を完成させるなどの功績も残しました。
AD244年、ペルシア軍との戦いに従軍中、19歳の若さで亡くなったゴルディアヌス3世は、多くのローマ市民からその死を惜しまれ、後に神格化されました。尚、彼の祖父が着工し、ゴルディアヌス3世が完成させたエル・ジェム闘技場は永らく良好な保存状態を保ち、ローマ帝国後期の栄華をいまに伝えています。現在、エル・ジェム闘技場は世界文化遺産に登録され、チュニジアの主要観光名跡の一つになっています。
ゴルディアヌス3世は若くして即位し、20歳を迎える前に亡くなったため、遺されたコインも若い肖像ばかりですが、6年に亘って在位したことから数多くのコインが遺されています。このコインは青銅貨で渋いグレーンが印象的で、1700年以上の時の流れを感じるコインです。