• アンティゴノス朝マケドニア 牧神パン/アテナ神
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 紀元前3世紀、アンティゴノス朝時代の古代マケドニア王国で発行されたテトラドラクマ銀貨。アンティゴノス2世 ゴナタス王の治世に発行されたこのコインは、ヘレニズム時代を代表する特徴的なコインの一つに数えられています。


 表面には、ギリシャ神話上の牧神パンの横顔像が打ち出されています。周囲部に配された紋様は「ヴェルギナの星」と呼ばれるマケドニア王国の象徴であり、この紋様が施された盾が多数表現されています。
 このパン神像は、発行者であるアンティゴノス2世の肖像を模していると考えられています。ギリシャ神話におけるパンは、サテュロスやニンフなどと同じく自然界の精霊と捉えられてきましたが、アンティゴノス2世はパン神に強い思い入れがあったとみられています。紀元前277年、侵攻してきたガリア人の軍勢をリュシマケイアの戦いで撃破したアンティゴノス2世は、これを契機として自らの立場を確立して王位に就きます。このガリア人との戦いの後、パン神がマケドニア軍に加勢して勝利につながったという伝説が生まれ、このコインのデザインとして取り入れられたと伝えられています。

 裏面には武装したアテナ女神が表現されています。兜を被った女神は盾で身を守りながら、右手でケラウノス(雷霆)を構えています。左右には発行者アンティゴノス2世を示す「ΒΑΣΙΛΕΩΣ ΑΝΤΙΓΟΝΟΥ (王たるアンティゴノス)」銘が配されています。


 

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