※ティアラINT 保証書付き

　紀元前1世紀中頃の古代ローマで発行されたデナリウス銀貨。この銀貨は、当時財務官(貨幣発行責任者)を務めていたマルクス・ユニウス・ブルートゥス(BC85年～BC42年)の名において発行されました。

　ブルートゥスはユリウス・カエサルを暗殺した一人として知られ、後にシェイクスピアの作品中に表されたカエサル最期の言葉　「ブルートゥス、お前もか」によって裏切り者の代名詞ともなりました。しかし、ブルートゥスは共和政治の理想を追求する政治家として活躍した人物でもありました。彼の祖先は王を追放してローマの共和政を確立した初代執政官　ルキウス・ユニウス・ブルートゥスであり、名門ブルートゥス家の名を受け継ぐ人物として高潔さを重んじていたと云われます。故に、ローマをカエサルによる専制政治から守ろうと、過激な行動に走ったという見方がなされます。

　コインの表面には、ブルートゥスの政治思想を表わすように、自由と解放の女神 リベルタスの横顔肖像が刻まれています。リベルタス女神の後頭部には、女神の名を示す「LIBERTAS」の銘があります。
　裏面には、初代執政官ルキウス・ユニウス・ブルートゥスが、前後をリクトール(執政官を護衛する役職。護衛官)に守られながら歩む姿で表現されています。リクトールが携えているのは、斧を束ねたファスケスであり、執政官の権威を象徴しました。ブルートゥスが、自らの偉大な先祖にして共和政ローマの建設者を記念する為に表したデザインと考えされます。下部には、「BRVTVS(ブルートゥス)」の名銘が大きく刻まれています。"