
商品番号:282212
- 発行国:
- ローマ帝国政
- 地方名:
- シリア属州
- 都 市:
- アンティオキア
- 発行年:
- AD70-AD71
- 額 面:
- テトラドラクマ
- 金 性:
- AR(Silver)
- 表図柄:
- ウェスパシアヌス帝
- 裏図柄:
- ティトゥス
- サイズ:
- 24mm
- 重 量:
- 14.05g
- 資 料:
- GIC747var
- 状 態:
- VF
ウェスパシアヌス帝治世初期のシリア属州で発行された4ドラクマ銀貨。属州の主都アンティオキア(*現在のトルコ,アンタキヤ)で製造され、属州内で流通しました。
ウェスパシアヌス帝(在位:AD69-AD79)は財政や法務などにも経験豊富な軍人であり、ネロ帝亡き後の混乱を収めて皇帝に即位しました。即位後は二人の息子ティトゥスとドミティアヌスを補佐役として政権運営を行い、財政の改善やユダヤ戦争などを遂行しました。10年に及んだ彼の治世は堅実であり、実務的で無駄を嫌うものであったと云われています。また、彼の治世中にローマの円形闘技場「コロッセオ」の建設が行われ、ローマ史にその名を遺しました。
裏面には息子ティトゥスの横顔肖像が打ち出されています。表面の父親とよく似た顔つきであり、親子の血縁関係性を示しています。顎下に配された「B」銘は父帝ウェスパシアヌスの治世二年目に製造されたことを示しています。
副帝(CAESAR)に任じられたティトゥスは父帝ウェスパシアヌスをよく補佐し、特に軍事面で優れた指導力を発揮したと伝えられています。皇帝即位後は人徳を重視した政治を行い、治世最初期に発生したヴェスヴィオ火山の噴火に際しては迅速な復興を指揮しました。
治世はわずか2年と短命でしたが、その間の統治は後世からも讃えられることになります。18世紀にポンペイ遺跡を見学したモーツァルトは古代ローマとティトゥスに関心を寄せ、彼の伝記に基づいたオペラ『皇帝ティートの慈悲』を作曲しました。ナポレオンの時代には「La coiffure à la Titus」と呼ばれるティトゥスの髪型を真似た短髪が社交界の女性たちに流行しました。