
商品番号:250617
- 発行国:
- フランス
- 造幣都市:
- パリ
- 発行年:
- 1813
- 額 面:
- 20フラン
- 金 性:
- K900
- 造幣数:
- 2,798,409枚
- 表図柄:
- ナポレオン1世
- 裏図柄:
- 額面・リース
- サイズ:
- 21mm
- 重 量:
- 6.45g
- 資 料:
- KM695.1/VG1025/Fr511
- 状 態:
- VF scratched
19世紀初頭、第一帝政期のフランスで発行された20フラン金貨。ナポレオン時代を代表するこの金貨は、フランスが征服したヨーロッパ大陸の国々でも広く使用されました。またフランス国内でも、度重なる戦争や経済混乱を避けるため、紙幣ではなくこの金貨で貯蓄し、財産を守った人々が多く存在しました。
フランス軍がオーストリアを占領した際、ナポレオンはウィーンでオペラを開催し、出演した歌手、役者たちにこの金貨で気前良く出演料を支払ったことで大変喜ばれたと伝えられています。
ナポレオン失脚後、彼が発行した金貨の多くは回収・改鋳されて新たな金貨に生まれ変わりました。しかし発行数と使用量が多かったことから代々引き継がれていき、200年を経た現代まで残されています。やがてフランスの20フラン金貨は総称して「ナポレオン金貨」と呼ばれるようになり、ナポレオン本人にまつわる様々な物語を含みながら、世界に知られる歴史的コインの一つとなったのです。
ナポレオン自身、自らの権威と栄光を象徴するこの金貨をたいそう気に入っており、失脚後の流刑先となった大西洋の孤島 セントヘレナ島にも大量に持ち込みました。制約が多い生活の中でも、ナポレオンは側近や世話になった人々、親しくなった島民などに自らの横顔が刻まれたナポレオン金貨を配っていたそうです。そして1821年5月、多くの側近に看取られながら亡くなった後には、故人の遺志によって遺体の傍らに複数枚のナポレオン金貨(フランスの20フラン金貨とイタリアの20リレ金貨だったという)が並べられたと記録されています。
ルーブル美術館で公開された『ナポレオンの戴冠式』を鑑賞するパリ市民 (1810年の作品)
銀貨の表面には、皇帝ナポレオン1世 (在位:1804年~1814年,1815年)の横顔肖像が打ち出されています。左右には「NAPOLEON EMPEREUR. (ナポレオン皇帝)」銘が刻まれています。
肖像のナポレオンは月桂冠を戴いており、その姿は伝統的なフランス王というよりも古代ローマ皇帝の風貌に類似しています。ナポレオン自身が古代ギリシャ・ローマ文化を意識し、自らと古代の英雄の姿を重ねたイメージを宣伝していたことが、当時発行されたコインの肖像にもよく表れています。
裏面には月桂樹のリースに囲まれた額面が表現され、周囲部には国号「EMPIRE FRANÇAIS. (フランス帝国)」銘が刻まれています。
下部には発行年とパリ造幣局で製造されたことを示す「A」銘が刻まれています。また縁部分には陰刻による「DIEU PROTEGE LA FRANCE (神はフランスを護る)」銘があります。
この金貨が発行された1813年の2月、周辺諸国から成る第四回対仏大同盟が結成され、フランスに対する攻勢を強めました。この時期に発行された多くの金貨は軍資金としても利用され、遠征の先々でも使用されました。
同年10月、フランス軍はライプツィヒの戦いにおいてプロイセン、オーストリア、ロシア、スウェーデンの同盟軍に敗れ、翌年4月のナポレオン退位へとつながりました。ヨーロッパ史上の大きな転換期に発行された金貨です。