商品番号:240533
- 発行国:
- ドイツ
- 地方名:
- バイエルン王国
- 発行年:
- 1871
- 額 面:
- 1ターレル
- 金 性:
- SV900
- 造幣数:
- 149,584枚
- 表図柄:
- ルートヴィヒ2世
- 裏図柄:
- ゲルマニア女神坐像
- サイズ:
- 33mm
- 重 量:
- 18.52g
- 資 料:
- KM889/GDM188/Dav615
- 状 態:
- EF toned
【普仏戦争 戦勝記念銀貨】
1871年の普仏戦争(または独仏戦争)の勝利とドイツ統一を記念し、南ドイツのバイエルン王国で発行された1ターレル銀貨。
裏面にはドイツを具現化した女神像ゲルマニアが表現され、勝利を象徴する月桂冠を高く掲げています。左手でコルヌ・コピア(豊穣の角)を抱くゲルマニアの足元からは、忍耐強さを象徴するドイツの国樹「オーク(樫)」の若木が伸びています。
表面にはバイエルン王 ルートヴィヒ2世 (在位:1864年~1886年)の横顔肖像が打ち出されています。ルートヴィヒ2世は繊細なロマンチストとして知られ、その精神的不安定さから「狂王」または「耽美王」とあだ名されました。
若くしてバイエルン王に即位したルートヴィヒ2世は政務を近臣たちに任せ、自らは芸術や音楽の世界に没頭していました。当初、美貌の青年王の登場に多くの国民は歓迎しましたが、ルートヴィヒ2世自身は内政に関心を見せず、ワーグナーなど音楽家への支援や、自らの理想を体現した城の建設などに莫大な資金を費やします。
1871年のドイツ統一後には、ルートヴィヒ2世の同性愛傾向や夢想的な言動、奇行がますます目立ち、様々な噂が国民から周辺の国々にまで拡がっていました。この時期に、ドイツで最も有名な城として知られる「ノイシュヴァンシュタイン城 (新白鳥城)」の建設が進められました。
プロイセン王国の首相ビスマルクはルートヴィヒ2世に多額の建設資金を援助し、その見返りとしてバイエルン王国の普仏戦争協力と、プロイセン主導によるドイツ統一の支持を得たといわれています。取り決めに従い、バイエルンはプロイセンと共にフランスと戦い、ルートヴィヒ2世はプロイセン王ヴィルヘルム1世を統一ドイツ帝国の皇帝に推戴しました。しかし、結果的にバイエルンは南ドイツでの盟主的な立場を失い、国王自身はますます政治と現実世界から遠ざかっていきました。
ルートヴィヒ2世は首都ミュンヘンから離れて山中の城に篭ることが多く、そこで昼夜逆転の生活をしていたとされます。夜になると豪華なそりに乗って外を走り回り、近隣の村人を驚かせたという伝説が残されました。
1886年にバイエルン政府は国王が精神異常に陥り、政務を遂行することが不能になったとして王権を停止します。王国の財政を傾けてまで建設した自らの理想の城「ノイシュヴァンシュタイン城」にいた王は取り押さえられ、精神病患者として軟禁状態に置かれました。その後、王は医師と共に湖畔へ散策に出かけた後、謎の死を遂げます。
様々な逸話を残し、夢と理想の世界で生き続けたルートヴィヒ2世は、彼の遺した作品であるノイシュヴァンシュタイン城と共に、多くの人々に語り継がれています。
ノイシュヴァンシュタイン城