商品番号:233412
- 発行国:
- フランス保護領モロッコ
- 造幣都市:
- ベルリン
- 発行年:
- AH1321(AD1903)
- 額 面:
- 2.5ディルハム(1/4リアル)
- 金 性:
- SV835
- 造幣数:
- 3,449,464枚
- 表図柄:
- 六芒星&1321
- 裏図柄:
- アラビア文字銘文
- サイズ:
- 24.5mm
- 重 量:
- 6.25g
- 資 料:
- VG152/Y20.1
- 状 態:
- VF toned
19世紀~20世紀初頭のモロッコはヨーロッパの列強各国が利害を争い、イギリス、スペイン、ドイツなどが影響力を行使していました。特にフランスはモロッコを統治するアラウィー王朝を事実上の保護下に置き、内政や財政に深く関与しました。
このコインはドイツのベルリン造幣局が製造を請け負い、モロッコ国内で流通させたものです。当時の君主アブドゥル=アズィズの名銘がアラビア語で刻まれています。偶像崇拝を忌避するイスラームの教えに従い、六芒星の紋様を組み合わせたアラベスク紋様のみのデザインです。当時のモロッコの銀貨はフランス、イギリス、ドイツなどヨーロッパ各国の造幣局で製造され、それぞれにアラビア語で「パリ」「ロンドン」「ベルリン」など造幣都市銘が刻まれています。当時のモロッコとヨーロッパ列強の関係性が、そのままコインに表されています。
モロッコとヨーロッパ列強の関係を示した風刺画 (1903年)
1912年までにモロッコはフランスとスペインによって分割され、名実ともに完全な保護国となりました。モロッコが再び独立するのは20世紀半ば、1956年のことでした。
ヨーロッパで製造されたこの銀貨は広くモロッコ国内で流通し、人々の日常生活で使用されました。先住民ベルベル人の女性たちは手頃な大きさで手に入りやすく、六芒星が刻まれたこの銀貨を使用してジュエリーを作成しました。
六芒星のデザインと、魔除けの意味合いを持つ銀でできているということから、御守りのような感覚で身につけていたのかもしれません。こうした伝統的なベルベルのシルバージュエリーは数多く作られ、コインも装飾品として多く消費されていたことが分かります。
六芒星の銀貨を使用したベルベルのヘッドドレス