1862年に開催された、ロンドン万国博覧会を記念して造られたホワイトメタル・メダル。19世紀 大英帝国の繁栄を象徴する祭典の歴史的記念品です。

　1862年のロンドン万国博覧会は、1851年の第一回目よりも規模を大きくし、欧州列強諸国を中心とした世界39カ国が参加しました。開国後の日本からは、漆器や日本刀、浮世絵などの伝統工芸品が展示・紹介された他、江戸幕府から派遣された使節団も見学に訪れました。この使節団に随行し、ロンドン万博会場を見学した福澤諭吉が「Exhibition」を「博覧会」と和訳したとされています。

　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　1862年　ロンドン万国博覧会　会場内風景


　メダルの表面には、ブリタニア女神と見られる二人の女性像が表現されています。周辺には船や蒸気機関車、芸術品や工業製品といった、先端技術と伝統工芸を象徴するものが配置されています。手前の女性は、イギリス国旗である「ユニオンジャック」を掲げています。隣の女性は「EUROPA ASIA AFRICA AMERICA AUSTRALASIA」の世界の五大地域名が書かれた旗を持っています。

　この博覧会ではヨーロッパだけでなく、アジア・アフリカなどの地域の伝統や文化、産業、工芸などを紹介する展示も増やされました。帝国主義の時代、イギリスをはじめとする列強諸国が、世界中で植民地を獲得していた時代背景が色濃く反映されています。

　裏面には会場となったサウスケンジントンに建設されたパビリオンが表現されています。その上部には万国博覧会を示す「INTERNATIONAL EXHIBITION」の銘、下部には博覧会が1862年5月1日に開幕したことを示す「OPENED MAY 1st MDCCCLXII」の銘が刻まれています。