
商品番号:219621
- 発行国:
- 古代ギリシャ
- 地方名:
- マケドニア王国
- 都 市:
- アンフィポリス
- 発行年:
- BC227-BC225
- 額 面:
- テトラドラクマ
- 金 性:
- AR (Silver)
- 表図柄:
- ポセイドン神
- 裏図柄:
- 舳先のアポロ神
- サイズ:
- 29mm
- 重 量:
- 17.14g
- 状 態:
- EF-
紀元前3世紀、アンティゴノス朝時代の古代マケドニア王国で発行されたテトラドラクマ銀貨。このコインはアンティゴノス3世ドーソン王の治世下で発行されました。アンティゴノス3世とセレウコス朝シリアの連合軍が、アンドロス島沖での海戦でプトレマイオス朝エジプトの艦隊を打ち破った記念に造られたと云われます。
表面には海の大神ポセイドンが表現されています。頭部には海神として海草のリースを戴く、堂々とした風格です。威厳に満ち溢れたその表情は、天界の大神ゼウスの兄にふさわしいものです。
豊かな髭と長く力強い長髪、頭部に冠したリースなどは、最高神ゼウスを彷彿とさせます。ポセイドンは地上と海を支配する力を持った強大な神であり、天空と神々の王 ゼウスの兄とされています。
神話によれば、ポセイドンは海の美女神アンフィトリテを妻とし、共にヒッポカンポス(シーホースとも呼ばれる半馬半魚の幻獣)の牽く戦車に乗って海洋を駆け巡るとされています。
海の王たるポセイドンは三叉槍「トリアイナ」を武器として用い、嵐や地震を引き起こす激しい神として人々から畏れられたのです。ポセイドンとはすなわち、古代ギリシャ世界に生きた人々にとって「自然の猛威」そのものであり、人間の力では到底太刀打ちできない、荒ぶる自然の力を象徴していました。


同時に、ポセイドンは自然の猛威から人々を守護する力も持っていると捉えられていました。オリュムポス十二神にも数えられるほど古代ギリシャ人の関心は高く、特に海洋交易や戦場に身をさらすことの多かった当時の人々にとって、非常に強力な守護神でもあったのです。ポセイドンを祀る神殿は地中海沿岸の多くの都市に建立され、現代でも数多くの神殿跡が遺跡として保存されています。
裏面には、ガレー船の舳先に座る光明の美男神 アポロが表現されています。裸のアポロ神は、しなやかな肢体で船に寄りかかり、脚を交差させた優雅な姿で刻まれています。アポロ神は芸術的才能、音楽、牧畜を守護する神であると共に、弓の名手としても知られました。右手には弓が握られており、その特性が表されています。アポロ神の外見的特徴である「カールさせた長い後ろ髪」までしっかりと刻まれており、当時の原型彫刻師のこだわりが垣間見えます。
ガレー船の船体部分には、陰刻部分に「ΒΑΣΙΛΕΩΣ」の銘、下部の陽刻部分に「ΑΝΤΙΓΟΝΟΥ」の銘が刻まれており、合せて発行者を示す「王たるアンティゴノス」を表しています。
裸のアポロ神坐像は、セレウコス朝シリアのコイン裏面に多く用いられたモティーフでした。その為、アンティゴノス3世とセレウコス朝の象徴を組み合わせたこのデザインは、両者の同盟関係を示しているのです。
このコインは古代ギリシャコインの名品の一つに数えられ、後世には近現代ギリシャの通貨にもそのデザインが度々用いられました。現代を生きる人々の感性にも合致した、芸術的にも素晴らしい作品であることを示しています。


